SMAP解散についての独断的私見

 

 私は長く映像批評に関わってきたので、ドラマの中ではよく目撃するが、基本的にエンターテイメント音楽はあまり聴きに行かないので、SMAPのステージは1度も見たことがない。でも、SMAPは嫌いではない。
 ちょうど息子と同年代である上に、彼らはみんな品が良くて素敵な青年たちだから、面食いの私の好みに合っているのである。事務所の力が大きいとはいえ、彼らが主演するテレビドラマにどうしようもない駄作はない。いつもそこそこの楽しさを味わわせてくれた。歌唱はド下手だけれど。
 今回の解散騒動の前に、1月、独立、分裂騒動がおきた時、私も女性週刊誌から取材されて答えた。「事務所の犠牲者だ。まるで謝罪会見は牢屋の中から言わされているようだった。事務所がSMAPより年下のグループが育ってきているので高をくくっていたら、あまりに反響が大きく、焦って、この人たちが悪いんだと見せしめにするために、あの会見になったのだろう」という内容だった。ネットにも出たので、反響があった。
 収まっていたと思ったら、8月14日の朝、前日に阪神タイガースが勝ったので、買いに走ったデイリースポーツ紙の1面に、特大活字で『修復不可能・・・5人の絆 SMAP 解散』と出ていたので目を剥いた。
 デイリースポーツの1面は阪神タイガースネタと決まっているので驚いたのである。慌てて、わが家で購読している日刊スポーツを見ると、これにも1面に解散記事が出ていた。NHKのBSニュースにまで取り上げていたので「ほほう」と思った。社会的話題だと認識したのだろう。近頃は一般の全国紙も芸能ニュースの冠婚葬祭を取り上げるので当然かもしれない。
 独立騒動がおきた時に、事務所に残留を主張した木村拓哉くんと、女性マネジャーと一緒に独立を望んだ他の4人との間に、深い溝ができて、それが修復不可能になったということらしい。
 いろいろな人が色々な意見を述べているが、私はある意味で当然の帰結だと思っている。
 何故なら、第1に彼らの年齢がある。40代になった男たちが、いつも一緒につるんで仕事をしなければならないというのは窮屈そのものだ。1人1人に個性があって、それぞれのフィールドもはっきりしてきて、スターとしての自信もついてきている。5人が凭れあわなければ不安でしょうがないことはない。面倒くさいだろう。それに、アップになると顔の皮膚がたるみ加減の中年が、アイドルグループというのも気持ちが悪い。
 次に、誰も言っていないことだが、私は5人の中で1人木村拓哉くんだけが結婚していることも原因していると思う。木村君は奥方の工藤静香ちゃんと仲がいいらしいし、お嬢さんも思春期になるまでよく育っている。静香さんは絵画も玄人はだし、洗練されたスタイルで歌手現役だ。こういう家族を持っている木村君はどうしても家族優先で内向きになる。安定した仕事環境を求める。
 一方、他の4人はそれぞれ相手はいるだろうが、基本的に独身貴族である。関心は外向きである。時々は酔っぱらって、公園で素っ裸になるような羽目外しもやれる気楽な身分だ。家族がいるとこうはいかない。彼らは経済的に豊かなので、育った実家にも束縛されまい。
 独身貴族は丸ごと自由の身である。家族持ちの木村君とは向く方向が違う。安定志向とは正反対、これからも20代の時のように、大海に漕ぎ出したいくらいの気分だろう。大人になった中居正広くんが、間をとりなそうとしても無理だった。SMAPというグループは解散して正解だ。売り方は難しかろうが。
 中年になったSMAPが、1度壊れた絆をむりやり仲良さそうに糊塗してメンバー活動をしても、怖いテレビカメラは真実を写す。絶対にいいものは作れない。とっとと解散してそれぞれの方向に動けばいい。それより、年末までの4ヶ月少々が問題で、この時とばかり、解散セールをやったらぎごちないものになるだろう。過去の栄光にミソをつける結果になるかもしれないからやめなさい。
 今後が大事だ。
 音楽プロデューサーの酒井政利さんが、どこかのテレビ番組で、中居君は司会、木村君は芝居、稲垣君は文学、草彅君は味、香取君は演出と向く方向を分類していたが、これは余計なお世話である。それぞれが才能ある青年たち、マルチにあらゆる分野で活躍すればいいのだ。
 スポーツマンと違って若さがなくなればポンコツというわけではない。中年を過ぎた世界一のハンサム、アラン・ドロンが白髪になっても渋い俳優で生き残っているように、SMAPの青年たちは歳を重ねても、その年齢の俳優として生き残れる。
 ただし、中身を磨くべし。それには、そろそろ年貢を納めて家庭を持つこと。昔の銀幕と違い、今のタレントには普通の社会人としての素養も要求される。芸能バカでは寿命が短い。
 NHKが視聴率を上げようと、年末の紅白歌合戦の目玉に解散出演を狙っているらしいが、SMAPの青年たち。本心に反したことは絶対にやらないこと。最後ぐらい自分たちのやりたいことをやりたいようにやりなさい。
 局や事務所に遠慮したり気を使ったりしないこと。本当の相手は曲を聴いてくれたりドラマの視聴率を上げてくれたりする大向こうの一般人である。商品たる自分たちの購買客である。彼らは鋭い。ウソを見破る。
 解散まで4か月のSMAPたち。事務所寄りの木村くんの打算が垣間見えて難しそうだが、それぞれ知らん顔でバラ売りに邁進なさいませ。