SMAP解散、最後の引導渡しを見て思ったこと

 

 12月19日と26日の2日とも、「SMAP×SMAP」(フジテレビ)の放送を完全に視聴した。私なりの感慨があった。
 木村拓哉くんを除いて、みんな歌が下手だったのは相変わらずだった。
 19日の内容は芸達者で海千山千のタモリさんにうまいこと振り回されて、解散の暗さが微塵も出なかった。
 26日の内容はうんざりするほど長かったが、過去に私が見ていないものが沢山あって、それなりに面白かった。特に有馬温泉に5人で出かけた場面が、それぞれの個性が出ていて、改めてSMAPの青年たちの人気の寄って来るところがよくわかり「ふむふむ」と思った。
 別のシーンでの白眉は、なんといってもマイケル・ジャクソンのドッキリ出現である。ダメもとでマイケルのマネジャーだか付き人だか、黒人の男性にスタッフがかけあうと、「明日は空いてるよ」との返事で、お忍びで5人に内緒のままマイケルが現れることになった。ブラボー!
 5人にとっても大スターのマイケルが突然スタジオに黒づくめで立っていたのを見た時の、みんなの顔が呆然としていておかしかった。
 目の前のマイケルを見ながら、中居くんも他の人たちも「マイケル・ジャクソン?」と呼び捨てで名前を呼んだところにびっくりの度合いが出ていた。本来ならば日本人は、本人の前では「ジャクソンさん?」と「さん」付けでいう。ところが、びっくりこいた彼らは、普段自分たちが喋りあっている通りに呼び捨てにしたのだ。マイケルはおちゃめな顔で「そうだよ」という風な顔。常に周りにいる人間から特別視されるマイケルの、貫禄の表情だった。
 マイケル・ジャクソンは毀誉褒貶の激しい人で、晩年は特にいろいろ叩かれたが、優しい人でもあった。というのは、私も突然に彼に遭遇して(何故ならば私はマイケルのファンでもなんでもなかったので)、握手ばかりか肩を抱かれてハグされた経験があるからである。1度どこかに書いたっけ。
 まさにSMAPがドッキリでマイケルに会った2006年だと思うが、夫と2人で日本橋の丸善に洋書を見に行った。普段通りにスタスタとエレベーターで上階に上がったところが、何故か客が少ない。少ないどころかほとんどいない。
 私たちはラッキーとばかり本を物色していたところ、入り口付近に人の気配がする。それも大人数だ。一団は部屋の入り口付近で立ち止まった。
 真ん中の人に見覚えがある。「へーえ? ひょっとして、あのマイケル・ジャクソン?」と私。でも、ほとんど無関心だったので彼をじっと見つめていた。
 横に大男のモヒカン刈りやボディガードっぽい巨大な人たちが絶妙な距離でマイケルを取り囲んでいる。「うわあ、すごいわねえ、さすがスターだ」と私が夫に話した直後であった。マイケルが、一直線に私を目がけて歩いてくるではないか。ちょちょっと、どうしよう。「ナイス・ミーチュユー」とでも言う?
 マイケルは私の目を見ながらニコニコして、右手を差し出した。私もつられて彼と握手した。
 そして、私の肩に両手を置いて、ぐっと引き寄せハグしてくれたのである。その間、数秒間のこと! 多分、私は小柄なので子供に見えたのか、或いは、前もって丸善側が用意した人畜無害のファンの1人だと思ったのかもしれない。
 後で聞いたら、私たちが上に上がれたのは僥倖で、客は全員がVIPさまがお帰りになるまで、1階の玄関前から入れなかったらしい。無欲の勝利だった。SMAPのスターたちが唖然とした大スターに私はハグされたのですよ、エヘン。
 余談が長くなった。
 白状すると、ジャニーズ事務所の所属タレントたちは、ボスの慧眼によってそれぞれの人気グループが素敵な青年たちによって構成されているが、残念ながら、嵐にもTOKIOにも他のグループにも、1人ぐらいは好きでない男の子が混じっている。ところが、SMAPだけはどの青年も私は嫌いではないのだ。全く嫌味がないし、自然体なところがいい。これが稀有なグループとして君臨しえた理由ではなかろうか。
 今年の初めに5人がそろって謝罪したテレビ番組の後で、私も週刊誌メディアから意見を聞かれた時に、「事務所によって晒し者にされたのだ」と答えたら、ネットに大きく引用されて、大分長い間、漂っていた。あんないい子たちにお仕置きなんてと私は腹が立ったのだ。覆水盆に返らず。とうとう最終回だ。
 こうなってしまった要因だが、誰も言っていないので書くが、SMAP解散の1つの要因に、フジテレビの没落が関係していると思う。かつてのように、元気に「女子供のフジテレビ」と自虐的に居直っていたのが、上層部の人材不足の故か、右顧左眄するようになり、ドラマもダメ、バラエティもダメ、看板だった月9が見るも無残な薄っぺらドラマになり、ブランド力を失った。
 私が長く選考委員をしている民間放送連盟賞でお付き合いのある、あるフジテレビ系地方局の局長に久しぶりでお会いしたら、真面目な顔で言われた。「先生、低迷ぶりを打開する方法がありませんか」と。つまり、「フジテレビ=万事が落ち目」との雰囲気が蔓延しているのだろう。
 お陰で、スマスマも「一桁視聴率」と叩かれた。「落ち目のキー局の看板番組」では出演する中居くんたちも楽しくなかっただろう。首吊りの足を引っ張る役目までさせられては元気も出ない。ちょっとした揉め事にも腹が立つようになり、修復不可能になったのではないか。最後の番組に寄せられた多くのファックスのように、私は彼らに「ありがとう」という気はない。「ありがとう」なんてまだ早い。これからずーっとバラで活躍なさいませ、才能ある青年たちよ。