若狭勝さん、議員をやめて、やっぱり元の法律家?

 

 東京都知事選挙に小池百合子さんが立候補した時、理由は知らないが、若狭勝さんがいつもべったり百合子さんの遊説に付き合っていた。その頃から、私は「なんで? ご夫婦みたいな仲?」と疑問符がついた。そんなに仲良しなのに、若狭さんが今回の総選挙で、選挙区でも比例でも落選してしまったら、小池さんからお詫びの電話がかかってきただけだったらしい。それで終わりか?
 よくわからない政治家たちの感覚である。
 若狭さんは政治家引退と、どこかで読んだが、不思議なお2人だ。
 「総選挙、落選したらただの人」になる人が多いが、若狭さんは弁護士である。弁護士どころか、かつては東京地検特捜部の検事さんだった。「巨悪を眠らせない」怖い怖いトクソ―の検事である。
 この怖い東京地検特捜部で、私はかつて若狭勝検事に取り調べられたことがある。勿論、被疑者としてである。別に何の犯罪も犯していないのに名誉棄損で訴えられたからだ。結果は完全勝訴した。
 この顛末は昔々、新潮社が発行している「新潮45」という月刊誌に面白可笑しく描いたので繰り返さない。また、このサイトでも「3段跳び男」というタイトルで、彼に取り調べられた顛末に触れたことがある。読んでいない方は、昨年の「東京地検特捜部→弁護士→衆議院議員→都知事候補応援隊の3段跳び男」というタイトルの回をご覧ください。
 さて、余計なお世話だが、若狭さんは政治家を辞めて普通の弁護士に戻るのだろうか。またぞろ、弁護士としてテレビの情報番組のコメンテーターをやるのだろうか。
 今度は「希望の党の世話係→衆議院議員選挙での落選議員→弁護士→コメンテーターの逆3段跳び男」になるのか。失礼だが何となく可笑しい。特捜検事をお辞めになった時から、上昇志向が強いか、あるいは有名になりたい気持ちが強くてホップ・ステップ・ジャンプとなったのかと思っていたが、逆3段跳びは不本意ではないのだろうか。
 名誉棄損で訴えられた時に、媒体が紹介してくれたM弁護士は有名になりたい病の権化だった。大きな法律事務所に属していて、最初の会合で会った時、どこのアンちゃんかと思った。癖のある長髪に、ド派手なチェックのジャケットを着て、「テレビに出たい」というようなことを言っていた。それ以来、未だにその人をテレビでは見ないので、売り込みに成功しなかったのだろう。
 近頃のワイドショーでは、西も東も弁護士のコメンテーターが多く登場するからマネジャーが売り込まなくても簡単に出られるのかもしれない。
 テレビばっかり出ていて、ご自分の弁護士としてのお仕事に差し支えはないの?とからかってやりたいくらいである。難しい司法試験を受けて突破した弁護士ならば、森羅万象物知りの人ばかりだからいいのかもしれないけれど、あまり話が面白くない人も多い。
 批評家的観点から見て、高く買っているのはテレビ朝日の「モーニングショー」などによく出ている住田裕子さんである。自然体の喋り方で、知的で余計なことは言わない。若い女性弁護士の中には、「私、美人でしょ」と鼻先にぶら下げているような女性もいるが、住田さんは超越している。
 反対に、個人的に最も引いてしまうのはTBS御用達みたいな八代英輝さん。立派なキャリアの国際弁護士であるらしいが、話し方が聞いていてイライラする。人の好さそうなところが嫌いである。弁護士というよりは商売人の匂いがするのでノーサンキュー。
 テレビCMで大宣伝していた割に、近頃、キナ臭いニュースが流れているA
法律事務所には、八代さん的な弁護士さんが集まっているのかもしれない。
 以前は弁護士事務所がテレビCMを打つことはなかった。人口減少で、かつてはエバっているだけだった一流大学も、有名な総合病院も、人集めにいそしんでいる。競争激化で生き残りに不安があるのだろう。
 アメリカのように「犬も歩けば弁護士に当たる」ほどではなくても、弁護士事務所も営業をしないと依頼人がジリ貧になるのかもしれない。
 実家の亡母は自分が生んだ子供4人の中の誰かを医者か弁護士にしたかったらしい。上の2人、姉と長兄に「お医者様か弁護士にならない?」とけしかけたのだが、2人共に首を振って顔をしかめた。
 「青びょうたんを相手にする職業なんか真っ平だ」と断固拒否。4人生まれた子供の誰一人として医者にも弁護士にもならなかったのだ。そういえば、「先生」と呼ばれて尊敬されるであろうこの2つの職業は、どちらも相手にするのが「青瓢箪(痩せて顔色の悪い人をあざけっていう語――広辞苑)」か「辛い思いをしている人たち」である。
 全然明るくない。お金は儲かるかもしれないが楽しくない。私も真っ平である。もっともどちらの資格も取れなかっただろうが。
 「青瓢箪」を相手にしていると老けるのが速い。わが友人弁護士は私より若いのだが、もう、「翁」のような雰囲気を漂わせている。立派なビルの11階に立派な法律事務所を構え、部下弁護士も雇い、秘書も複数いる。先日、久しぶりに会ったら、のけ反るほど人相が変わっていた。
 友人は企業の顧問弁護士が定収入の民事専門なので、まだいいが、ドラマによく出てくる巷の刑事犯の弁護士は、それこそ気苦労が多いはずである。
 若狭勝さん、弁護士だけに戻るより、お顔を売ったのだから、不思議な感覚の政治家に、再び3段跳びでお戻りなさいませ。その方が面白いよ。