笑止千万 18歳と71歳のバトル 日本体操協会、汝もか

 

 このところ次々に騒ぎになるスポーツ界の不祥事、私はあまり関心がない方であるが、テレビやネットが煽り立てるので、つい見てしまう。
 女子レスリングのコーチによる意地悪問題、大学ラグビーでの暴力と業界監督やコーチの更迭問題、もっと前には大相撲での暴力行為、他にもいろいろ噴出しているが、大雑把に分類すると、長年権力を握って君臨してきた業界のボスたちが、頭(ず)が高くなって高飛車に出た結果、下の立場の選手たちが「これはおかしい」と声を上げ始めたという図式が多い。
 それに加えてセクハラ・パワハラの大流行(笑)。
 今回の女子体操界の告発バトルは、突然、まだ18歳の宮川紗江選手が記者会見して、自分の長年の速見佑斗コーチの暴力行為は認めるが、無制限登録抹消は処分が重すぎると発言したことに始まる。加えて、日本体操協会からパワーハラスメントを受けたと爆弾宣言。それに対して協会の幹部から大反論が起き、バトル中なのは衆目の見るところだ(31日現在)。
 私が報道を関心もって見始めたのはバトルの主たちの年齢が特別だったからである。
 宮川紗江ちゃんはまだ18歳。
 名指しでパワハラを受けたといわれた協会の幹部は、女子強化本部長の塚原千恵子さんが71歳。両者の歳の差は53歳。まるで孫とババほどの差である。
 この年の差にも関わらず、ババ立場の塚原さんの方がキーキーして「宣戦布告」し、「お金使ってでも」やるとか、「もう黙ってないわよ」とか、ムキになって反論している。しかも、亭主の塚原光男さんまでが「宮川選手の発言はウソが多い」と援護射撃だ。一見して大人気ないと私は思った。
 孫年齢の宮川選手の記者会見は、緊張からか無表情で超冷静、言い間違わないためだろうが、メモをバッチリ書いてきて淀みなくしゃべった。18歳の方が大人対応である。ババ年代、真っ青。
 外野にいるはずの元テレビ朝日のスポーツキャスター・宮嶋泰子氏は、「報道ステーション」にゲスト出演して、塚原寄りの発言をした。これは、業界のボスから陰に陽に取材上の恩恵を被ってきたからなのか。岡目八目で公平に大向こうから見ているわれわれとは志向が異なっている。
 塚原千恵子さんをスポーツ紙は巨大活字で「女帝」と書いているから、業界内では権力者として君臨してきたのだろう。
 私はどちら側にもなんのコネもないから冷静に見られるが、1つ疑問があるのは、夫の塚原光男さんと妻の千恵子さんが、同じ組織の中で共に幹部を務めていること、普通はどちらかがポストを辞退するものではないのか。
 それとも、「塚原跳び」や「ムーンサルト」などで勇名を馳せたオリンピックの英雄に対しては、特別扱いをするのだろうか。
 塚原(夫)さんがカメラの前に出てきてすぐに、「ウソばっかり」みたいな言葉で宮川選手を切り捨てたのはマズかったし、みっともなかった。
 その態度自体で心理を読めば、18歳の記者会見で、彼ら夫妻が如何に痛いところを突かれて逆上したかを表わしている。つまり、宮嶋氏に電話でいくら「言ってない」と否定しても、テレビ視聴者は、「結構このオバサン幹部は孫みたいな選手を呼びつけてパワハラ発言をしていたのだナ」と感じてしまうのだ。
 長崎弁のド迫力も感じのいいものではない。
 勝負ありだ。
 ちょっと話は変わるが、近頃、何か不祥事が起きると、組織体はすぐさま「第3者委員会を立ち上げる」という。行政の度重なる不祥事でも「第3者委員会」と判で押したようにいう。
 第3者委員会の大安売り!
 これって、一見公平な人に判断を仰ぐようでいいことのように聞こえるが、何で自分たちの組織内での不祥事や事件を、鳩首集めて真相究明、分析、解決しようと努力しないのか。情実が入るのを避けるためだ?
 バカ言っちゃいけない。起きた事件の真相究明のために、全員が襟を正して解明に向かえないような組織は存在する価値がない、という決断をもってやれば、第3者に丸投げしないでもやれるだろうに。最初から努力を放棄している。
 様々なスポーツ界の不祥事の成り行きを見ていると、言葉は悪いが、幹部の人たちにはインテリジェンスが欠落している。脳味噌筋肉(古いっ)の勢ぞろいである。若い世代の方が論理的に振舞おうとしている。ラグビーの告白選手もそうだった。
 組織は淀むし風通しも悪くなる。
 最たるものはニッポン国の政権与党である。
 それにぶら下がった官僚も、今や目を覆いたくなるような堕落ぶりだ。
 体操協会の自浄作用は働かず、報道によれば3人の第3者委員が、短い期間で聞き取り調査をするという。あまり期待できない。
 某テレビコメンテーターが「ファクトが第1」といっていたが、祖母のような年齢の幹部に呼びつけられていわれた時に、言葉はどんなに優しそうでも、眼光やイントネーションで威圧感を感じたとすれば、言葉を紙に起こして文章にしたものを第3者が読んで、「これはパワハラに当たらない」とパワハラ否定する危険はある。当事者でもない第3者委員会が絶対正しいのだとする風潮に、私が疑問符をつける所以である。
 ババ幹部のパワハラは大いにあったのではないかというのが私の結論だ。