神宮外苑花火大会(8/20)は騒音公害大会だった

 

 大昔には、隅田川花火大会を家族で見に行くのが恒例だったが、ある年、吾妻橋の上で、余りに権力的なお巡りさんに「歩け歩け、立ち止まるな!」と家畜のように追い立てられて嫌気がさした。
 数年後、屋形船を家族全員で申し込んだら大金がかかり、その割に、船内でカラオケばかりやらされて、肝心の花火については、川下に停泊してさっぱり見えず、頭にきて、これもやめた。
 その後、東京湾華火大会にテレビ局の知人が招待してくださって何度か行ったが、イマイチ楽しくなかった。別荘のある安曇野市へ行く途中の中央高速諏訪湖SA近くでは、日本一豪華と言われる諏訪湖花火大会にも何度か行ったが、雨が降ったり、別荘までの帰りが渋滞したり、うんざりすることの方が多くて近頃はやめた。
 そうなると、わが家から一番近い神宮外苑花火大会である。
 一度は神宮球場の指定席を買ったが、1人分4,500円もしたのに、花火を見るには首を90度も傾けねばならない席で、さらにアトラクションの音楽が煩くて楽しくなかった。それで、翌年は絵画館前の特別席を購入し、花火見物の座席としては最高であったが、「食事つき1万円」と称するものの内容が、フランクフルトのソーセージだったので、私たちは「不当表示だ」と憤慨した。
 つまり、私の花火体験はさんざんの連続である。だから、昨年はどこにも行かず、テレビ東京の隅田川の中継で、雨が降れば「ざまあみろ」と意地悪を言ったり、「花火なんか」といじけたり、縁遠くなっていたのである。
 出かけ好きのわが家は今年こそ繰り出そうということになったのだ。
 一般紙と併用で購読している日刊スポーツ紙に広告が出ていたので、ネットで申し込もうとしたら上手くゆかない。私は世間でパソコンのPも言われていなかった頃からパソコンで原稿を送っているネットの達人であると自負しているのに上手くゆかない。
 それで、書いてあった0570の電話にかけてチケットを取ろうとすると、女の人の機械音が「扱っていません」とかなんとか拒否するのである。だったら電話番号を書くな、日刊スポーツさんよ。
 執念深く頭を巡らせて、ついに人物が応対する番号にかけた。「お宅の新聞に番号が書いてあるのに、扱っていませんってどういうことですか」と私。「すいません、日時が迫っているので扱わなくなったので、直接セブンイレブンかサークルKサンクスに行って買ってください」だと!
 結局、トコトコとコンビニに行って神宮軟式球場のチケットをゲットしたのであった。ああ、行く前から疲れた。
 大江戸線の国立競技場駅を降りると、もう浴衣姿のアベックと女子会(?)の波である。家族連れや高齢者はほとんどいない。
 神宮軟式球場に着くと、芝生にべったりとみんなが座っている。入り口で団扇と敷物のビニールをくれたのである。ビニールには「2017 東日本大震災・熊本地震復興チャリティー 神宮外苑花火大会 打上花火とアーティストの饗宴」と朱色で書いてある。
 ポールで四角く囲われた周囲に通路が出来ていて、周辺の屋台に食べ物を買いに行く場合、長蛇の列の最後尾に並ばなければならない。私は焼きそば(まずいっ)と「温かい」と書いてあるウインナと生茶を家族分買った。芝生の上にビニールを敷き座り込んで食べる。こんなことなら、来る途中で蕎麦屋にでも入ればよかったのだが、ここらあたりには何にもないのだ。
 仮設舞台では音楽とも騒音とも判別しがたい音が鳴っている。舞台から遠いのでステージの上は全く見えない。左の方向にパブリックビューイングがあって、何か映っているがステージのカバーではなく、スポンサーの名前らしい。
 7時まで2時間も待ち、辺りも相当薄暗くなったのに花火どころか、またもやステージに別のグループが上ったらしく煩い音楽が鳴り始めた。私達の敷物の隣にはアベックがいて、女性は大柄で肉感的な美人である。股スレスレの短パンを履いているのでズドーンと巨大な太腿が座った私の視界の正面に来る。青年も大柄で並みの顔、優しそうなので恐らく尻に敷かれるタイプだナ。
 私達の後ろには浴衣を着た女の3人連れ、大阪弁で早口なので私には何を喋っているのか判然としない。私たちの前は大きい中年男性と長い茶髪のオバサンのカップル。7時過ぎからの騒音、ゴールデンボンバーの演奏が始まったら、これらの周り中の人たちが立ち上がって団扇や手を振り始めた。人気グループには反応が違うのを発見した。私は軟派の流行り音楽は全く聴きにいかないので初体験だ。前にデカい人たちが立っているので音ばかりで何にも見えず。
 とにかく煩い! 煩い! 煩い!
 延々7時半までの30分間、聞かされたのである。早く花火をやれーっ。
 堪忍袋の緒が切れそうになった7時半。ようやくドドドーっと花火が上がった。わが座った席から真正面の天空に、それはそれは見事な火の華が咲いた。ゴールデンボンバーと一緒に踊っていたデカケツのおねえちゃんやオッサンたちも、「見えません」とひと言声をかけたら、みんながスーッと座ってくれた。
 あれほど煩かった音楽もどきも全部消えて、食べ物ゲットの行列も通路から消えて、広い広い神宮軟式球場は、打ち上げられる花火の炸裂音以外静寂になったのである。みんなのマナーは見事であった。
 私たちは混雑を予想し花火の途中で帰り支度をして、さほど殺人的な人込みにも遭遇せずに帰ってきた。久しぶりに人出7万人の1人となったのだった。