暑い、暑い、暑すぎる、頭がボーッとする。終戦記念日が来る

 

 今年は梅雨がなかったように思う。梅雨の間も晴れた日が多かった。連日、朝から深夜までフライパンで炒られるような暑さで、身の置き所がない。
 昔は真夏でも耐えられたが、近頃の暑さは耐えられない。
 もうすぐ終戦記念日が来る。
 昭和20年の終戦記念日界隈も暑かったが、耐えられない暑さではなかった。
 わが家は疎開をしていて、田舎暮らしで、私の中には暑かった記憶はない。
 セミの鳴き声が煩いくらい降り注いでいた思い出だけがある。
 遠くに見える緑の山脈と、抜けるように青い空、乾燥した空気。疎開先の親戚の家に、細々した用事を頼んでいる男の人が、ある時、駆け込んできて、台所に上がると、母たちと小声で話しだした。
 「戦争は終わったらしい」
 「日本は負けたらしい」
 大人の会話を小耳に挟むませたガキだった私は、それがどういう生活の変化をもたらすかもわからず、母たちがこれまでと変わらず、買い出しや日常のやりくりに忙しそうなだけで気にならなかった。
 疎開先ではほとんどラジオもつけていなかったので、8月15日の玉音放送を、父母や兄たち、誰一人として聞かなかった。
 つまり、当時の田舎暮らしは、私の実家が疎開した場所が「村」ではない「町」であったにもかかわらず、都会とは隔絶された世界だったのである。
 今のようにテレビもなく、携帯もスマホもなく、もちろんインターネットの概念もなく、ラジオはしょっちゅうピーピーと故障する真空管ラジオで、余りつけてもいなかった。
 情報を得るのは翌日の新聞だけだが、それも戦火が酷くなった頃の田舎には欠配ばかりが続いていたようである。
 父が疎開先の仕事場で敗戦を確かめてきたのではなかろうか。
 テレビドラマで家族が全員揃って立ち上がり、玉音放送を聴いて泣くシーンがよく出てくるが、私は「嘘つけえ」と思っている。
 庶民は物資のない戦時下の生活に追われて、ラジオどころではなかったのである。だから今でも私は、終戦記念日にこの世に存在した人間であるにもかかわらず、その日に特別な感慨がないのだ。小さかったせいだろうか。
 暑さについては、地球温暖化が進行する以前であるから、真夏でも格別に猛暑ではなかったのか、疎開先で暑くて寝苦しい経験をした記憶がない。クーラーなんか田舎の畳の部屋には影も形もなかったのに。
 私は子供の頃に暑がりでなかったことだけは確かである。
 私は子供時代からよく母に、「この子は汗もかいていない。腕もサラサラよ」といわれた。小さくてエネルギー不足で、人が汗だくになっている時でも、涼しい顔をして、暑がらなかったと言われつけてきた。
 だから、クーラー嫌いで、家ではあまりクーラーはつけなかったのだが、ここ数年、もう我慢がならない。連日のクーラー漬けである。
 特に今年は「暑い」なんていうものではなく、カンカンに冷やしたリビングにいても、ねっとりと暑い空気が体中に纏わりつく。耐えられない。歳のせいで抵抗力が減少していることもある。
 わが家はマンションなので、当然コンクリート造りである。日当たりが猛烈にいいので、冬の午前中は暖房がいらない。その代り、夏は昼間にコンクリートが太陽の熱を吸って、蓄熱ヒーターのような塩梅になる。
 私の寝室は角部屋で2方向が外に面しているので、昼間のカンカン照りをもろに受けるから、夜になってもベッドまでが熱くなっている。
 寝る1時間前から、冷やしておかないと絶対に眠れない。横になってからは1時間の切タイマーをつけて何とか眠りにつく。それでも苦しい。
 神様、何とかしてください。たまりません。
 職業柄、1日中パソコンの前に座りっぱなしの日もある。運動不足と頭の使い過ぎと、連続ドラマがスタートした7月などは、寝る直前までテレビを見続けているので、目の刺激、耳の刺激が強烈で、到底リラックスできずに寝つきが悪いから、ますます、暑さがこたえる。
 そもそも私は自律神経のバランスが悪い。
 生活自体が年がら年中、自律神経のバランスを保つのに反することをやっている。普通の人は交感神経が活発な朝から昼、昼から夜と働いて、夕食後はリラックスしてお風呂に入り、副交感神経に切り替わる深夜にすやすやと眠りにつくのだろうが、私は丸っきりこのサイクルが狂っているのだ。
 朝は4時か5時に目が覚める。
 寝るのが深夜だから当然睡眠不足である。それでも書く仕事は溜まっている。
 1日中、書くか、批評すべきテレビ番組を視聴しているか、資料を読んでいる。
 副交感神経に切り替わるべき夜遅くまで、キャーワーと煩いテレビ番組を、神経を集中して視ている。メモを取りながら。ピリピリである。
 体がリラックスするはずがない。目はパチクリ、耳は研ぎ澄まされて超敏感、12時ごろに終わっても、眠りモードにはなるわけがない。
 加えて猛暑である。
 ますます寝つきが悪くなり、暑さが堪らないし、悪循環の極みだ。
 神様、もう少し温度と湿度を下げてください。
 安曇野のセカンドハウスは涼しいのだが仕事山積で行けないのだ! トホホ。