プロ野球、今年の阪神タイガースは1味違う

 

 5月12日の金曜日に、関内の横浜球場にDeNAベイスターズ×阪神タイガースの試合を見に行った。ピッチャーはDeNAが井納翔一で阪神はエースのランディ・メッセンジャーである。いい投手同士なので好ゲームを期待した。
 球場に問い合わせると、当日券は午後3時半から売り出すという。
 関内は以前、テレビ神奈川のトーク番組出演の仕事で何度か行ったことがあるので、土地勘がある。球場が駅から劇近なのでおっくうではない。
 阪神が東京に来る時には、東京ドームは嫌いなので行かないし、神宮球場はJRの駅から遠いので文句を言いながら歩く。その点、横浜球場は副都心線が開通してから、よく中華街の「謝甜記」におかゆを食べに行くので、昔のように「遠いなあ」という感覚がなくなったのである。
 3時過ぎに球場に着くと、もうロープを張ったチケット売り場の前に行列ができている。ベイ側もタイガース側も一緒に買うようになっている。プロ野球の観客といえば、むくつけき中年のオジサンか、若い男の学生か(だって平日だから勤め人は3時半には来られないでしょ)と思っていたが、近頃は違うのである。
 違う最たるものは私のような高齢オバサンであろうが、高齢オバサンも増えたが、若い女性も多い。カープ女子ならぬベイスターズ女子らしい女の子や、土地柄か白人のアベック、アジア系の外国人の家族連れなども目立つのである。とにかく並んだ客はバラエティ豊かなのだ。
 3時半きっかりにチケット売り場が開いた。
 蛇行の行列を根気よく徐々に進んで、やっと売り場窓口に突進する。
 「3塁のタイガース側で1番いい席を下さい」と言うと、ネット裏に近い1人5,600円の内野指定席を売ってくれた。同行者と2人分で11,200円也。オペラなんかより遥かに安いのでうれしい。
 ゲーム開始までは時間があるので桜の通りで夕食を食べる。これも安い。
 事前の練習中に球場に入ったら、目の前の3塁ベースで背番号1番のトリちゃん(鳥谷敬)が動いていた。結構大きい。
 薄暮の野球場はとても美しい。
 一連の開幕セレモニーがあり、どこかの企業のボスによる始球式で、すばらしいストライクが投げられたので拍手喝采だ。観客起立で君が代の斉唱である。近くに声自慢らしいオヤジさんが素敵なバリトンで朗々と歌っていた。
 6時、いよいよ試合開始だ。
 阪神の1番は高山俊くんである。6大学でリーディングヒッターだったが、プロでは去年新人王を取ったけれども、今年の打率はイマイチ。
 3番に目当ての糸井嘉男さんが出てきた。タイトルにあるように、「今年、阪神が1味違う」ようになった最たる理由は、この糸井さんの加入である。以前の3振ばかりしていたゴメスがいなくなって、クリーンアップの糸井、福留の3、4番が高機能を発揮しだしてから、貧打の阪神の汚名返上が出来つつある。
 糸井さんは筋肉質のでかいガタイで威風堂々としている。でも、男臭いというよりは、何となくセクシーなのである。無骨な感じなのに色気がある。オリックスにいた時から、彼の独特のセクシーさに私は関心があった。もっと近くで彼をつらつらと眺めてみたい(失礼・笑)。
 メッセンジャーと井納の2人が好投して、4回までは両方とも0行進である。なかなか点が入らない。4回の表、売り出し中の中谷くんが内野安打で出て2アウト1塁の時、われらがトリちゃん(鳥谷敬)が2ベースヒットを打った!
 今年のトリちゃんはアベレージが3割を越えていてベストテンに入っている。キャプテンの重責がとれて楽になったのか、ショートから3塁に守備ポストが代わって楽になったのか、あるいは目の治療(?)でもしたのか。よく打つ!
 打順が下位なのも気が楽なのかもしれない。彼は頭が良くて真面目だから、これまでは頑張りすぎていたのだろう。
 さて、トリちゃんのヒットで中谷は1塁から長躯ホームベースまで走りこんで1点(先取点)を挙げた。この走塁は見事で、夜の「報道ステーション」の中で、『熱盛』として、3塁コーチがぐるぐると腕を回しているシーンが映されていた。球場で見ていた私は、外野に飛んだ白球の行方ばかり目で追っていたので、コーチの腕回しまでは気が付かなかった。現場にいても人間の目が捕らえる対象物は限られているということなのだ。だから、後で見る映像の価値は限りなく大きかった。
 4回裏で、すぐさまベイスターズに1点を入れられて1対1になったが、6回の表、同じく2アウトで、この回も終わりか、と思っていた時に、またまた中谷くんが第4号のソロホームランを打った。5番打者の一発だ。
 球場は広いので、私はいつもホームランの白球がスタンドに入る瞬間までは目で追えない。何となく球場全体が「わーわー」言いだしてから気が付く。自分の動体視力がのろいのかもしれない。
 8回の表には、福留さんと鳥谷さんの2人のホームランで、計4点。4対1で阪神タイガースが快勝したのであった。横浜くんだりまで野球を見に行って、いいピッチャー同士の緊迫した投げ合いの末、タイガースが勝った場面を堪能して萬歳だった。
 近頃のプロ野球はチアガールの踊りや、観客をあおる面白い外人(?)のマイクでサービス満点だ。私はラミちゃん(DeNAのラミレス監督)も好きなので、負けた姿を見るのは忍びなかったが。初夏の宵の命の洗濯であった。