『この、ハゲーーーーーっ!』流行語大賞入選間違いなし

 

 『ちーがーう だーろーっ!』
 『違うだろーーーーーーっ!』
 『お前はどれだけあたしの心を叩いてる!!』
 『私の心を傷付けるな! これ以上、私の支持者を怒らせるな!!お前が叩くよりよっぽど痛いよ!!!』
 『お前は頭がおかしいよ』
・・・・・。
 こんなド迫力の怒鳴り声を聞いたのは、久しぶりだ。
 勿論、これは話題の豊田真由子自民党(離党前)衆議院議員の声である。
 雲隠れしたまま出てこなくなって1週間も経つ。
 週刊新潮の6月29日号はさぞかし売れただろうナ。
 翌週号では、さらにパワーアップした豊田議員の暴言が掲載されている。読むのも気持ちが悪い。これが女の言葉か。
 次号もさぞかし売れるだろうナ(笑)。
 冗談はさておき、今回の告発録音が明らかになって以来、私は豊田真由子氏のことをメディアが「超エリート」と形容しているのに違和感がある。
 確かに、女子御三家の1つ、桜蔭高校から東大法学部卒、厚生労働省にキャリア官僚として入省の後、ハーバード大学大学院に留学とくれば、エリートには違いないけれども、超エリートと呼ぶのは正確ではない。
 私に言わせれば、こうした人は天性の秀才ではなくて、いわゆる偏差値秀才の典型なのである。別の言葉でいえばガリ勉秀才である。
 真に頭のいい人は、東大の中でもそうそう数多くはいない。彼らは、いわゆる権力志向がうすく、東大法学部などには死んでも進学しないのだ。東大の中で、天性本物の秀才たちは、法学部に進む人たちを内心軽蔑している。だから、その先にある官僚や政治家などは全く視野にも入ってこない。無視している。
 法学部に行きたがる人は「楽をして威張りたい」のである。組織の力で最初から世間一般より上に立ちたいと彼らは思うのだ。
 本当に優秀な人は他力本願ではなく、自分だけの個人の力を磨き、何かをやりたいと考える。出来上がった組織の中で、「楽して得したい」とは思わない。つまり、本当にやりたいもののためには、出来上がった組織なんか、むしろ邪魔なのである。
 昔は東大の教養課程の「文科1類」から法学部と経済学部に進学できた。権力志向の者は当然、法学部に行ったが、それが嫌な人は経済学部に進んだ。そもそも、偏差値秀才ではない真に優秀な人は文1なんかを受けなかったのだ。理系に行くか、文系の人では教養学部、文学部、教育学部などなどを目指した。
 私の姪の元連れ合いは、ちょっと変形の偏差値秀才で、東大法学部を出て、特殊な政府系銀行に就職した。これも一種の権力志向である。民間の市中銀行よりポストが上だと考えたのであろうが、その政府系銀行は合併によりなくなってしまった。
 かつての日本興業銀行である。合併すると、それぞれの元銀行で、出世できると思っていた人は、ポストがなくなって当てが外れた。元甥っ子も日本興業銀行というものが消滅したのち、辞めてしまった。秀才の成れの果てだ。
 豊田真由子氏は国会議員になったところまでは、偏差値秀才の理想通りに進んでいたのだろう。選挙の時には、時の総理大臣が選挙カーに乗って応援演説をしてくれた。彼女は得意満面だった。自尊心は満足させられたし、自分の歩いてきた道が正解だったと思ったはず。
 ところが、彼女の威張りたがり性癖を満足させてくれたのは、ここまでだ。
 国会議員になって初登庁時にはテレビにも映り、選良として得意顔で国会内を闊歩していただろうが、表向きのカッコいい部分はほんのわずかである。選挙区に帰れば、自分が内心いつも軽蔑している、ごく普通のオバサンやオッサンたちにまで、「ご支援有難うございます」とペコペコしなければならない。
 なんで「ハーバードまで行った私が、こんな凡人に頭を下げなきゃいけないんだ!」と、いつもいつも不満だった。
 自分は秀才、エリートと鼻の先にぶら下げていた自尊心はズタズタ。
 年がら年中、腹ふくるる心地で生活している。
 自民党内ではまだチイチイパッパの当選2回生。事務所へ行くと周り中が有権者。家に帰れば子供が2人。夫も官僚で忙しい。当たり散らす場がない。
 威張る相手が、いないっ。秘書だけだぁ。
 イビってストレスを発散する相手が、いないっ。
 かくして、『この、ハゲーーーーーーーーーーーーっ』となったのだ。車の中に秘書とただ2人だけ。もろに地が出た!
 私が豊田氏を、偏差値秀才(記憶したりしてガリガリ勉強はする)ではあるけれど、あまり頭の良くない人だと思う理由はここだ。
 自分を客観視して、常に他者から見ての自分を想像することのできない人だということ。秘書と2人だけの空間でも、大昔から言うではないか。『壁に耳あり、天井に目あり』。逆上したおのれがその空間を支配している感情に左右されて、「自分は今、みっともない態度、みつともない言葉を口走っている」という分析さえできない。こんな女のどこが超エリートか。
 ただのヒステリーである。
 ああ、この国の選良がこの程度では、民度が低いのも当然だ。