増税分はまたうやむやになること請け合いだ

 

 10月2日の日付で、セキュリティ会社から、また『自動口座振替のご案内』という封書が来た。セカンドハウスの警備を依頼している会社で、私は「?」であり「ギョッ」である。
 なぜなら、ついこの間、5万円以上もの費用が、家の口座からこの会社に引き落とされたばかりだったので、なんでこんなに接近してまたお金をとられるのか理解できなかったからである。
 自動落としは便利ではあるが、色々なところから封書が来るたびに、家計の大蔵省(もとい、財務省)担当としては「また落ちた!」とドキドキする。庶民である。
 開けてみると、請求額はたったの553円!
 ホッとするやらおかしいやらだ。
 「消費税法の改正に伴い、2019年10月1日以降のご契約料金につきましては、新消費税率10%でご請求させていただきます。※マークの料金は、消費税率改定日以降の請求期間分を、既に改定前消費税率(8%)で請求済のため、改定後消費税率(10%)との税差額分(2%相当額)を税改定差額として請求させていただきます。」と書いてある。
 おうおう、何でも取っていけや。
 みみっちい額だが取りっぱぐれたら困るというのだろう、手数料が損するだけだよ。
 10月になる前に、テレビは連日、消費税値上げに関して大騒ぎだった。大抵のテレビマンのオツムの中は発想が貧弱で、「おばあちゃんの原宿」たる巣鴨の地蔵通りに出かけて、高齢者にマイクを向けるパターン。
 「軽減税率ってわかります?」とレポーター。
 「よくわからない」と高齢者。
 「外食したら〇〇%で、家にもって帰ったら〇〇%って、わかりにくくないですか。さらに食料品などは生活に影響が大きいので・・・軽減税率で・・・」
 「わかりにくくてさっぱり」とおばあちゃん。
 「めんどくさいから、どうでもいい」と突き放すのは大抵男の高齢者たるおじいちゃん。
 まるで、決まりきった答えを言わせようと、レポーターたちが仕掛けているみたいだった。一方、店主たちを捕まえて、その店のレジスターの税率操作について同じことばかり聞く。
 うんざりした。
 そもそも、私は消費税率値上げに関して、ほとんど関心がない。近頃、わが家はエンゲル係数が高くて食費関係の出費は多いが、食材は「安かろう悪かろう」のスーパーではほとんど買わない。わが家の立地がいいので、繁華街のデパートに行って、いいものを買う。
 だから、月でまとめてくる、それこそ自動落としの請求金額は高いが、商品の品質が悪くて不愉快な思いをすることがない。税率が2%上がったからといって、あまり意識にはのぼらないのである。
 食費以外は家財道具一式、もう有り余るほど揃っているし、ファッション関係も流行なんか追わないし、一時凝りに凝った外国の超お高いブランドものバッグやアクセサリー類にも、憑き物が落ちたように関心がなくなったし、お金を使う場所がない。
 だから、以前から関心が薄かった消費税率など、どうでもいいのである。
 テレビが煽っていた8%の間の駆け込み爆買いなど、「ナンセンス」と笑っていた。だってそうだろう。赤ちゃんのミルクやおむつは理解できるが、駆け込み買いして同じものを山ほど購入しても、賞味期限が迫るし、結局、買い溜めしたものが無駄になるだけではないのか。大家族は別にして。
 それよりも、値上げしたお上にしっぺ返しをしてやるなら、「税率が上がったから出費を控えますわ」とかいって、無駄に買い込んでいたものを減らす努力をすれば2%なんかチョロいものである。やーい、景気が悪くなるぞ(笑)。
 まあ、デッカイ買い物では影響はあろう。
 思い出すのは私の大失敗譚。
 平成元年(1989年)、初めて消費税が導入された時のことだった。
 ちょうど、息子が高校を卒業して、大学も合格し、4月に入学することになった時だ。
 私が大嫌いだったサルみたいにお耳のデカい総理大臣が、どこかのお店にお付きをゾロゾロつれて買い物に行って、わざとらしく消費税込みの代金を支払う場面の中継をしていた。テレビ記者が媚び媚びのレポートをして、新規導入の消費税をPRしたのである。
 その場面を私はバッチリ見ていたくせに、この日からの消費税導入に関心が薄かったので、すっかり忘れてしまった。
 それから数日して、息子のスーツを買いにデパートへ行ったのだ。バカだなあ。
確か5万円ぐらいの既製品のスーツを買ってやった。
 さて、支払いの段階になって、商品の価格に上乗せする消費税なるものを説明された。すっかり忘れていた私は「アジャーッ」。
 「1週間前に買っておけば、これは取られなかったのね!」。事程左様に私はドジである。
 今なら消費税の上乗せは当たり前だが、当時はまだ意識に上らなかったのだ。
 借金まみれの国の財政に、2%の値上げがどれほど貢献するか、経済学者が色々と試算しているが、私は断言する。
 ド素人の単なる勘だが、福祉じゃ医療費じゃと甘いことを政治家はのたもうているが、見ていてご覧。2%の増税分なんか、どこへ行ったか雲散霧消すること請け合い。
 またまた、物言わぬ高齢者の年金を音なしで引き下げて涼しい顔をするのがオチだ。
 日本人は大人しすぎる。
 香港を見ろ。
 今度こそ、増税した2%分の使用結果を明確に答弁させよう。
 そうでなければ、またぞろ、ヨーロッパの消費税はコレコレと高いのだ、とかいって、値上げの洗脳を始めるに違いない。
 目玉をカッと見開いて、庶民はお上を監視するべし。