吉田輝星くん(金足農高ピッチャー)は美少年だ

 

 前にも書いたが私は甲子園の高校野球はあまり好きではなかった。何故なら、新聞社がこの時とばかりに販売促進に走るし、宝塚じゃあるまいし、「清く正しく美しく」的な建前論を標榜して、偽善の極みだったから、むしろ嫌いだったのだ。ミニプロ野球のように、全国から有能なチビ選手を集めて試合をさせて、どこが地元の代表か、と疑問を持っていたせいもある。
 強豪校に起きた不祥事の数々も記憶に残っている。
 しかし、今年は第100回なので、関東勢の応援ぐらいはしようかと思った。準決勝の日大三高(私の住んでいる西東京代表)対金足農業高(秋田代表)の試合を、仕事をしながらチラチラと見ていたら、強打の日大三高があっさり負けてしまった。この時に初めて吉田輝星くんを発見(!)した。
 本日ただいま、わが家で購読している新聞の1つ、日刊スポーツなんか、20日の1面トップがこの吉田輝星くんの大写しである。さらに、21日の1面は裏1面までずらずらと続いていて、これまた輝星くんの横顔のドアップだ。
 完全にニッカンの記者は輝星くんにいかれている。
 ううむ、爽やかなイケメンである。
 わが家に出入りしている業者の野球通氏の情報では、美少年の吉田くんは、既に6球団ものスカウトに注目されているんだとか。スライダーがいいそうだが、150キロ近いストレートも素晴らしい。
 くそ度胸の持ち主らしく、ピンチになってもおどおどしていない。むしろ、微笑んでいるように見える。図太いのか鈍いのか(失礼)。
 名前がまた、ご両親の期待を表わしている。「輝く星」とは「巨人の星」みたいだし、西武ライオンズのエース・菊池雄星くん同様、「スターを目指せ」と願っているようなネーミングである。
 この稿を書いている現在は大阪桐蔭との決勝戦より前なので、面食いの私としては、イケメンちゃんに勝たせてあげたいと祈るばかりである。でも、地方大会から1人で投げてきた疲れが出て、思わぬ大差で負けたりして・・・。
 さて、100回の全国高校野球大会で私の記憶に残るのは、ズーッと大昔の大会と、田中マー君とハンカチ王子の対戦試合である。何故か伝説になった松坂大輔君の奮闘試合や藤波晋太郎君の成功物語は記憶に残っていない。多分、この頃は「偽善の塊」とかいって見なかった時期であろう。
 大昔とは、テレビもない時代の大大昔のことで、小さい頃に疎開していた四国のチームが活躍した時代である。
 1953年(昭和28年)の甲子園は北四国代表の松山商業と南四国代表の私立・土佐高校が優勝を争った。この松山商業のピッチャーが空谷(そらたに)泰さんで、後に中日ドラゴンズに入った。
 空谷さんの本名は児玉泰さんといい、よく知らないがこの時期だけ空谷家の養子になって空谷泰を名乗っていたのだそうだ。
 私が覚えているのは、ラジオの前でNHKのアナウンサーが、「空谷、空谷」と絶叫するのに興奮して、ハラハラドキドキしていた記憶である。
 試合は緊迫した内容で、結局、3対2で松山商業高校が土佐高校に勝って優勝したのである。
 この時代の野球人には、メディアから消えてしまった板東英二さんや「超高校級」と言われた中西太さんら、西の方の野球人スターが綺羅星のごとくいた。
 ずっとくだって、田中マー君とハンカチ王子の決勝戦では、最後のマー君の三振の場面が目に焼き付いている。早稲田実業のピッチャーがハンカチ王子こと斎藤佑樹、駒大苫小牧高校のピッチャーが田中将大、2人して初戦は引き分け、再試合で4対3で早稲田実業が優勝した。
 その後の2人については書いたことがある。三振したマー君は今や大リーグのスター選手。元タレントの奥様を豪邸に住まわせ、レンタルした個人乗りのジェット機で里帰りする豪勢な身分である。
 勝った方の佑樹君は一応プロ野球の選手だが、登板してもさっぱり勝てない。千葉の方の2軍の球場にいるとかいないとか。あれほどの人気者だったのに、いわば落ちぶれてしまった現在の姿を本人はどう思っているのだろうか。
 早稲田実業という都会のチームのエースであったり、6大学のエースであったりした経歴が、彼にとってプラスになっていないような気がする。
 実力と才能を自らが過信しているように見えるのは私だけだろうか。
 中途半端なままで、甲子園の成功体験がプライドとして残り続けると、これからの人生で這い上がるのは容易ではない。余計なお世話ではあるが。
 次から次へと若い才能が出てくるから、方向転換した方がいいのではないか。
 さて、決勝戦の開始までにあと1時間になった。
 2時からは久しぶりにハラハラして高校野球を見ることにする。
 何が驚くといって、吉田輝星くんたち金足農業の選手たちは身体ががっちりしている。雪の中を長靴はいて、冬場のトレーニングにいそしんできたと報道されている。少年ぽい細い下半身ではなく、お尻も大きく男臭い体型だ。
 だから、1人で投げぬくスタミナもあるのだろう。
 美少年顔にがっちり体型、将来を嘱望される大器である。
 U-18には、大阪桐蔭からは6名が選ばれているのに、金足農からはたった1人、吉田輝星くんしか選ばれていない。今日の試合に勝ったらどうなるか。
 頑張れ、金足農!
 頑張れ、美少年!